「ATP選手とWTA選手のフォアハンド、全然違いますよね」
こういう動画、見たことありませんか?男子選手は体の横でスイング、女子選手は体の後ろを回してスイング。この違いについて、海外メディアでも様々な解説がされています。
でも私、これらの解説を見ていて、いつも違和感があったんです。
特に気になるのが「ATP式のフォアハンドの方が優れている」という意見。果たして本当にそうでしょうか?
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体の構造の違いという「説明」への疑問
海外のコーチが指摘している内容は、確かに理にかなっています。
男性は肩幅が広く肩の筋力が強い。だから肘を高く上げて、投げるような動作でスイングできる。女性は腰周りが強く重心が低い。だから肘を低く保って、腰の回転を使う。
この説明、間違ってはいないんです。
でも私が受けてきた指導を思い出すと、「だからATP式を目指しましょう」という結論になりがちだったんですよね。特に女性や子供に対しても、「プロの男子選手はこう打ってるから」という理由で、高い肘のテイクバックを教える。
これ、本当に正しいんでしょうか?
8歳のジョコビッチが教えてくれたこと
海外メディアの分析で、衝撃的な映像が紹介されていました。
ノバク・ジョコビッチの成長過程です。18歳の頃は、肘を高く上げて投げるような典型的なATP式。ところが8歳の頃の映像を見ると、なんと体の後ろを回すWTA式のスイングをしているんです。
これを見て、「ああ、そうか」って思いました。
8歳では肩の筋力が未発達だから、体の回転を使うWTA式が自然だった。成長して肩が強くなるにつれて、ATP式に進化していった。
つまり、その時々の体の状態に最適なスイングが存在するということですよね。
私が受けてきた指導では、こういう視点がなかったんです。「これが正しいフォーム」というテンプレートがあって、それに体を合わせていく。でも本当は逆なんじゃないか。体の状態に合わせて、スイングを選択する。
WTA式でも、ツアー最速のフォアハンドは打てる
ここで考えてほしいのが、アリーナ・サバレンカです。
彼女のフォアハンドは明らかにWTA式。肘は低く、体の後ろを回すスイング。でも昨年の全米オープンで、大会全体で最も速いフォアハンドを記録したんです。
WTA式でも、ツアー最速のフォアハンドが打てるんですよ。
じゃあ何が重要なのか。
海外メディアの分析では、サバレンカのフォアハンドから3つのポイントが指摘されていました。両手でテイクバックすること。脚からのパワー伝達。そして完全なフォロースルー。
これ、ATP式でもWTA式でも変わらない基本要素なんですよね。
スイングのタイプよりも、この基本要素をしっかり実践することの方が、はるかに重要だということです。
海外の理論に触れて変わった視点
私が海外のテニス理論を学び始めて、一番印象的だった言葉があります。
「選手と共に働くのであって、選手に対して働くのではない」
つまり、その選手が自然にできることをより効果的にする手助けをする。「こうあるべき」という型に無理やりはめ込むんじゃなくて。
私が受けてきた指導は、どうしても「正しいフォーム」を教えることに焦点が当たっていました。ATP式のフォアハンドが理想で、それを目指すべきだと。
でも本当は、自分の体の構造、筋力、そして何より「自然に感じる動き」を大切にすることが、長期的な上達につながるんですよね。
特に女性や子供の場合、上半身の筋力が十分でない段階で高い肘のテイクバックと投げる動作を真似しようとすると、かえってパワーが出なくなることがあります。肘を低く保って体の回転を使う方が、自然に力を発揮できるケースが多いんです。
女子選手の中にもATP式はいる、男子選手の中にもWTA式はいる
面白いのは、この区分けが絶対じゃないことです。
女子選手でATP式のフォアハンドを打つダリア・カサキナ。肘が高く、体の横でスイングする。もし自然にこういう打ち方ができるなら素晴らしいことです。
逆に、ATP式のスイングでありながら肘の位置が低い選手もいる。ジュスティーヌ・エナンやシモナ・ハレプです。女性にとって低い肘は自然なんですが、ATP式のスイングパスと組み合わせると、スペースが狭くなってしまう。
エナンは大きなラグを作ることで克服しましたが、これを一般プレーヤーが真似ると、パワーが出にくくなる可能性があります。
つまり、「ATP式にすれば勝てる」という単純な話じゃないんです。
まず、自分のスイングを知ることから
今日から試してほしいことがあります。
自分の後ろにカメラをセットして、フォアハンドを撮影してみてください。スローモーションで再生すれば、テイクバックでの肘の高さ、ラケットが通るパス、体の使い方が明確に見えます。
そして、スイングタイプに関わらず、この3つをチェックしてみてください。
両手でテイクバックできているか。 脚を使ってドライブしているか。 インパクト後も完全に振り抜けているか。
これらは、ATP式でもWTA式でも共通して重要な要素です。
もし今のスイングを変えようと考えているなら、本当に変える必要があるのかを考えてみてください。今のスイングで結果が出ているなら、無理に変える必要はありません。
変える場合も、いきなり全てを変えようとせず、一つずつ取り組んでいく。まずは両手でのテイクバックを習慣化する。次に脚の使い方を改善する。その後、スイングパスを調整する。
「万人に最適な唯一のフォーム」は存在しないんです。
ジョコビッチも子供の頃はWTA式でした。それぞれの選手が、その時々の体の状態に最も適したスイングを選択しているんです。
サバレンカがWTA式でツアー最速のフォアハンドを打っているように、どちらのスタイルでも、基本をしっかり押さえれば素晴らしい結果を出せます。
あなたの体が自然に感じるスタイルを、磨いていってください。


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