打点を見ていると思っているあなたは、実は何も見ていない。
所長この記事を書いている著者は・・
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【出版書籍】
「良いフォーム」を真似しても上手くならない謎
フォアハンドの練習って、どこを意識してますか?
テイクバック、スイング軌道、フォロースルー。教本通りにフォームを作って、鏡の前で確認して、でも実際に打つとなぜかミスが出る。スイートスポットで捉えられない。打点がブレる。
私も長年、この「形は作れるのに安定しない」という壁にぶつかってきました。そして最近、海外のトップコーチの指導を見ていて、ハッとしたんです。
ああ、私たちが「見るべきもの」を、根本的に間違えていたんだ、と。
フォームより先に、「頭の位置」がある
ムラトグルー氏の指導で最初に強調されるのが、意外なことに「頭を動かすな」なんです。
フォアハンドを打つ時、多くの人が無意識にやってしまうこと。それは、打つ前に狙ったコースを見てしまうこと。
考えてみれば当たり前ですよね。私たちは打ちたいコースがあるから、そこを見てしまう。相手の位置を確認したいから、そっちに目が向く。ボールがバウンドする軌道を追いかけるから、視線が動く。
でも、その「当たり前」が、実は打点をブラす最大の原因だった。
ムラトグルー氏は言うんです。インパクトの瞬間、いや、スイングが終わって体が回り切った後でも、頭はボールを見続けるべきだと。最後に頭が回っていくのは、すべてが終わった後でいい。
これ、理屈じゃなくて視覚の問題なんですよね。頭が動けば視線が動く。視線が動けば、打点の認識がズレる。認識がズレれば、当然ミスが出る。
私たちがどんなに「良いフォーム」を作っても、その土台となる「見る」という行為が崩れていたら、すべてが台無しになる。
「形」を作るより、「流れ」を作る
もう一つ、ムラトグルー氏の指導で印象的だったのが、フットワークの考え方です。
スイングが終わった後、右足が自然と前に出ていく。これが「ちゃんとボールを押せている証拠」だと言うんです。
逆に言えば、右足が前に出ていないということは、ボールに力が伝わっていない。体重が乗っていない。形だけ作って、実はボールを「当てている」だけ。
これ、私自身も身に覚えがあって。昔は「フォロースルーは大きく」と教わって、意識的に腕を振っていたんです。でも実際には、体の動きとしては止まっていた。
ムラトグルー氏が言っているのは、動きの結果として足が出るということ。意識して足を出すんじゃない。ボールをしっかり押せていれば、自然と体が流れて足が出る。
形を作ろうとするんじゃなくて、流れを作る。その結果として、形ができる。この順番が逆だったんですよね、私たちの練習って。
「手打ち」の本当の意味
手首の使い方。
「ハンドアクセラレーション」という言葉で説明されているんですが、要するに手首の動きでラケットヘッドを加速させる技術です。
これを聞いて「え、手打ちになるんじゃ?」と思った人、いますよね。私も最初そう思いました。
でも、ムラトグルー氏が言う「手首を使う」って、力んで手首を振り回すことじゃないんです。むしろ逆。
準備段階で左手でラケットを支えることで、右手はリラックスしている。その脱力した状態から、インパクトに向けて自然に手首が動く。この「リラックスからの加速」が、本当の意味での手首の使い方。
多くの人がやっている「悪い手打ち」って、腕全体に力を入れて、力づくでラケットを振り回すことなんですよね。これは確かに良くない。
でも、体の回転は使いつつ、最後の加速は手首に任せる。この感覚が掴めると、力を入れずにスピードが出るようになる。
フェデラーの映像を見ると、この手首の使い方が本当に自然なんです。全く力んでいない。でも、ラケットヘッドは鋭く加速している。
私たちが本当に練習すべきこと
ここまで書いてきて思うのは、私たちが普段「フォアハンドの練習」だと思ってやっていることって、実は形の確認に偏っていないか、ということです。
腕の角度、スタンスの幅、ラケットの軌道。もちろんこれらも大事なんですが、その前に確認すべきことがある。
頭の位置は安定しているか。インパクトまでボールを見続けているか。スイング後に自然と体が流れているか。リラックスした状態から加速できているか。
これらは「形」じゃなくて、感覚なんですよね。
形は写真で確認できる。でも感覚は、自分で気づくしかない。ボールを見続ける感覚。体が流れる感覚。リラックスから加速する感覚。
ムラトグルー氏が言う「ラケットが風を切る音を出せ」というアドバイスも、形じゃなくて感覚を掴むためのヒントなんだと思います。
あなたは、何を見てボールを打っていますか
最後に、シンプルな問いかけをさせてください。
次にコートに立った時、インパクトの瞬間、あなたは何を見ていますか?
打ちたいコースですか?相手の位置ですか?それとも、ボールそのものですか?
もし答えが「わからない」なら、それが答えかもしれません。私たちは「見ているつもり」で、実は何も見ていないことが多い。
形を整える前に、まず見るべきものを見る。この当たり前のことに立ち返ることが、実は一番の近道なのかもしれません。
あなたのフォアハンドは、今、何を見ていますか?


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