力で打ち勝てなくても勝てる、でも「それだけ」では勝てない|伊藤あおい選手のスタイルから学んだこと

1つの武器で勝ち続けられるのは、それが通用しているうちだけ。それを知ったとき、テニスへの向き合い方が変わった。

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目次

パワーこそ正義、と信じていた頃

正直に言うと、僕はずっと「強いボールを打てる人が強い」と思っていました。

筋力があって、スイングスピードが速くて、叩きつけるようなショットを打てる人が試合で勝つ、という図式を疑ったことがなかった。だから練習といえばフィジカルトレーニングばかりやっていたし、「もっと速く振らなきゃ」という意識が常にありました。

でも、そのパワー神話を真っ向から否定するようなプレーをする選手がいます。しかも世界のトップ10選手を倒してしまうような。

「へにょへにょテニス」の衝撃

伊藤あおい選手のプレーを初めて映像で見たとき、「これでトップ10選手を倒せるの?」と正直驚きました。

コンパクトな体格、力感のないフォーム、高い打点から叩き込むようなショットとは真逆の脱力した打ち方。それなのに、なぜかボールが相手のリズムを狂わせていく。

その秘密は「相手の力を使う」ことにありました。自分のスイングで打ち負けようとするのではなく、飛んでくるボールの勢いをそのまま返す。力を正面から受け止めるんじゃなくて、受け流して、違う角度や高さで返す。格上の相手が強く打てば打つほど、逆にその球が利用されてしまう。

これって、柔道や合気道の「相手の力を使う」という発想と同じじゃないかと思いました。

武器が通用しなくなるとき

ただ、このスタイルには「光と影」があります。

あるシーズンでは、このプレースタイルを相手に完全に読まれてしまった試合がありました。フォアハンド側にサーブを集めて、特定のショットばかり返させる。配球が読まれてしまうと、逆にそこを徹底的に突かれてしまった。

「これしかない」というスタイルは強さであり、同時に弱さでもある。相手に読まれた瞬間に対策が立てられてしまう。

武器があることはとても大切です。でも、その武器を「いつでも使える状況を作る」ための別のオプションがないと、試合の後半で行き詰まってしまう。

現代テニスの「高速化」という波

もう一つ、海外の分析が指摘していたのが「時代の流れ」の話でした。

現代のプロツアーは、ラケットやガットの技術革新もあって、10年前よりはるかにパワーテニス化が進んでいます。コートのどこからでも強打できる選手が増えていて、「タイミングと配球だけで上位に行ける時代じゃなくなりつつある」という声もある。

一般のプレーヤーレベルでも、確かにそれは感じます。以前は「つなぎ球でミスさせる」作戦が通用していたのに、最近は強打できる人が増えていて、待たれると叩かれてしまう。

特化型スタイルが輝ける局面は確実にあります。でも、それだけに頼れる時代は終わりに近づいているのかもしれません。

「苦手を消す」という地味な作業の大切さ

伊藤選手の事例を通じて、自分が改めて感じたのはこういうことです。

「一番苦手なショットを、せめてミスしないレベルにする」という地味な作業の大切さ。

得意なことを伸ばすのは楽しいし、わかりやすく結果に出ます。でも長く勝ち続けるためには、相手に「ここを徹底的に突けばいい」と思わせない総合力が必要になる。

フォアハンドだけ強い、バックハンドだけ自信がある——そういう状態は、相手が賢い人だと一番最初に見抜かれてしまいます。

「完璧な選手になる必要はない。でも、明らかな弱点は消す」。そのマインドセットが、テニスで長く楽しむための土台になると思っています。

あなたの一番の武器は何ですか?そして、その武器を使えない局面に追い込まれたとき、次の選択肢はありますか?

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