「強く打とうとすると振り遅れる」「ゆっくりなら打てるのに、ラリーのスピードが上がると崩れてしまう」。そんなフォアハンドの悩みはありませんか?
威力を出そうとして、いつもより大きくラケットを引く。しかし、その準備に時間がかかり、打点に間に合わなくなる。今回の動画で取り上げるのは、この「大きく引きたい」という感覚と、実際に必要なスイングの間にあるズレです。
動画では、当時12歳と紹介されるレッスン生・デビッド君が、大きすぎるテイクバックを見直していく過程を解説しています。注目したいのは、フォームの形だけではありません。素振りから始め、球出し、ラリーへと進み、崩れたら難易度を下げる。その練習の組み立て方にも、一般プレイヤーが参考にできるヒントがあります。
この記事では、動画の内容を5つのポイントに整理しました。気になるところから読み、実際の動きは本編で確かめてみてください。

所長この記事を書いている著者は・・
- YouTubeチャンネル『テニスメカニズム研究所』運営(登録者2.6万人)
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- 書籍『YouTubeで学ぶ 世界のテニス戦略』著者
- 理学療法士(医療国家資格)
【出版書籍】


1.強く打とうとして、テイクバックを大きくしすぎていないか


今回のレッスンで、コーチが最初に行ったのは映像による確認でした。ただし、いきなり悪いところを指摘したわけではありません。
グリップ、体のひねり、下半身の使い方など、できている点を整理したうえで、修正する対象をテイクバックに絞っています。
デビッド君の課題として挙げられたのは、準備するときに手が頭より高く上がることと、後方へ引きすぎること。このレッスンでは、大きな準備動作が打ち始めるまでの時間を奪い、ベースラインの後ろへ下がるプレーにつながっていると説明されています。
見るのは「ラケットの先」より、まず手の位置
動画で示される目印は、手の高さと、後ろ側の肩に対してどこまで手を引いているかです。
ラケットヘッドだけを見ていると、テイクバックが大きく見える理由を整理しにくいことがあります。まずは自分のフォアハンドを横から、そして後ろから撮り、手の位置を確認してみましょう。
- 準備のとき、手が必要以上に高く上がっていないか
- 後ろへ大きく引くことで、振り出しが遅れていないか
- ゆっくりしたボールと速いボールで、準備の大きさがどう変わるか
また、直す部分を探すときも、今できている動きまで全部変える必要はありません。今回のコーチのように、残したい良い点と、見直したい一点を分けると、練習の目的がはっきりします。
コンパクトなテイクバックの実例は、錦織圭選手のフォアハンドを分析したこちらの記事でも紹介しています。


2.いきなりラリーで直さず、素振りから段階を踏む


「テイクバックを小さくしよう」と決めたら、すぐに普段のラリーで試したくなるものです。しかし、ボールへの移動やタイミングの調整が加わると、新しい動きだけに集中するのは難しくなります。
動画のレッスンでは、ボールを打たない素振りから始め、手で落としたボール、球出しへと段階を進めています。
まず動きを確かめる。次に簡単なボールで再現する。その後で、相手から来るボールに合わせる。この順序が、今回の修正の大きなポイントです。
「ハーフボレーのつもりで打つ」というイメージ
球出しの場面で登場するのが、「ハーフボレーのつもりで」という声かけです。
レッスンでは、動きを短くした結果、ボールがフラットになりすぎる場面もありました。そこでコーチは、スピンを伴うイメージを加え、ボールの下から触れていく感覚も調整しています。
つまり、「小さくする」だけで完成ではないということです。短い準備の中で、ボールをどう捉え、どのように打ち出すかまで、段階的に確かめています。
次の練習では、最初の数分を素振りと簡単な手出しに使ってみてください。いきなり威力を求めず、同じ準備を繰り返せるかに注目すると取り組みやすくなります。
3.「小さく振ったつもり」を、映像で確かめる


球出しではうまくできたのに、ラリーに戻ると元のフォームが出てくる。今回のレッスンでも、最初は収まっていたテイクバックが、ラリーを続けるうちに少しずつ大きくなる様子が紹介されています。
動画では、ボールを追うことに意識が向き、修正したい腕の動きへの注意が薄れることが、その理由として説明されています。
もう一つ見逃せないのは、本人の感覚と映像の違いです。十分に手を低くしているつもりでも、実際にはまだ高い位置にある。フォームを変えるときには、こうしたズレも確認する必要があります。
練習の最初と最後を、同じ角度から撮る
本編では、スマートフォンで練習の最初と最後を撮る方法が提案されています。長時間すべてを撮影しなくても、同じ角度から数球ずつ記録すれば、比較する材料になります。
「今日は小さく振れた」という感想に加えて、映像ではどうだったかを確認してみましょう。
うまくいかなかったときも、練習全体を失敗と決める必要はありません。何球目から大きくなったのか、速いボールで戻ったのか、移動が増えたときに崩れたのか。条件を絞ると、次に何を練習するかが見えてきます。
相手には「今日はフォームを確認したいので、ゆっくりつないでほしい」と伝えておくのも一つの方法です。新しい動きを試す時間を、普段の打ち合いと少し分けて作ってみてください。
フォームの「形」より動きの「流れ」に注目する考え方は、こちらの記事も参考になります。


4.崩れたらスピードを戻す。それも上達のための練習


良い感触が出てくると、もっと速く、もっと強く打ちたくなります。そこで急に難易度を上げ、動きが崩れると「この打ち方は自分に合わない」と元に戻してしまう。そんな経験はありませんか?
動画では、ゆっくりしたラリーから少しずつ速度を上げ、それに伴ってテイクバックが再び大きくなったとき、コーチが速度を落としています。
「ゆっくり・普通・やや強め」で難易度を調整する
本編では、練習速度を段階に分けて考える方法も紹介されています。自分の中で「ゆっくり」「普通」「やや強め」の三段階を作り、修正したい動きが崩れたら一段戻してみましょう。
評価するのも、ボールが入ったかどうかだけではありません。ミスした一球でも、狙っていた準備動作ができていたかは別に確認できます。
もちろん、最終的には狙ったところへ打てることが目標です。ただ、新しい動きを覚える途中では、打球結果とフォームの変化を分けて振り返ると、修正を続けやすくなります。
練習の最後には、簡単なボールで動きをもう一度確かめる。今回のレッスンのように、できる条件へ戻って終える方法も取り入れてみてください。
5.腕の動きが落ち着いたら、足の動きへ意識を戻す


テイクバックを意識している間、足が止まってしまっていないでしょうか。
今回のレッスンでは、フォームの修正後にフットワークへとテーマが移ります。腕の動きが小さくなっても、ボールとの距離や打点が合わなければ、ラリーでは使いにくいままだからです。
動画で伝えられているのは、打つ前には足で位置を調整し、打つときには下半身の安定を保つという考え方です。
コンパクトな準備を、動きながら使える形にする
ここで目指したいのは、足を固定することではありません。ボールに合わせて動き、自分がバランスよく打てる位置に入ることです。
まずは無理のない速さのラリーで、次の二点を確認してみましょう。
- ボールを待つ間、足で位置を調整できているか
- 打つ瞬間、窮屈になったり、体勢が大きく崩れたりしていないか
腕の修正と足の調整を一度に全部意識するのが難しければ、練習のテーマを分けても構いません。新しいテイクバックが少し落ち着いてきたら、それを移動や打点の調整と結びつけていく段階へ進みましょう。
本編の後半には、その後の練習や試合の映像も登場します。フォームの見た目だけでなく、どの位置で、どのタイミングで打てるようになったかに注目して見ると、今回の修正の目的が伝わってきます。
▶ 動画でフットワークとその後のプレーを見る(11:43〜)
スタンスやテイクバック、運動連鎖まで、フォアハンドの基本を体系的に整理したい方はこちらもどうぞ。


次の練習では、まず一度撮ってみよう
今回の動画から持ち帰りたいのは、「テイクバックは小さいほどよい」という単純な結論ではありません。
次にコートへ行ったら、まず数球、自分のフォアハンドを撮ってみてください。強く打とうとしたときに、手の高さや引く幅がどう変わるか。それが分かるだけでも、練習のテーマを一つ決められます。
記事で流れをつかんだら、ぜひ動画でコーチの声かけとレッスン生の動きを見比べてみてください。文字だけでは分かりにくい「短い準備」の大きさや、練習の難易度を調整するタイミングが見えてきます。
「正しい形」より、まず自分のスイングを知ることから。そんな視点でフォアハンドを考えたこちらの記事もおすすめです。


練習方法や戦術をもっと学びたい方へ
YouTubeメンバーシップ「テニスメカニズムスクール」では、一般公開の動画では扱っていない、海外トップコーチが教える練習方法や、シングルス・ダブルスの戦術を紹介しています。
今回のように、「何を変えるか」に加えて「どんな順序で練習するか」を知りたい方へ。次の練習や試合に取り入れるヒントを探してみてください。
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